令和5年度税制改正大綱の資産税関連(令和4年12月23日閣議決定)
政府与党により 令和5年度税制改正大綱が、令和4年12月23日閣議決定されました。
資産税に関するものは以下です。
(1)相続時精算課税に毎年110万円の非課税枠ができる
相続時精算課税を選択した場合、相続時精算課税分について総額2,500万円までが税額がかからず、2,500万円を超える部分には20%の贈与税がかかります。
現行の制度は相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。
このことが、今まで同規定がなかなか広まらない原因とされてきました。
そこで、今回の改正案では、相続時精算課税を選択した場合でも、毎年110万円までは非課税となり、贈与者が亡くなられた場合でも、この110万円までの金額は相続財産には加算されません。
(2)相続時精算課税適用財産が災害等に被害を受けた場合の新たな規定
相続時精算課税を選択した場合に加算される相続時精算課税適用財産のうち一定の土地又は建物が贈与者が死亡した場合の相続税の申告期限までに災害によって一定の被害を受けた場合には、該災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除することができるようになります。
(3)相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等の見直し
相続などにより財産を取得した方が、その相続の開始前7年以内(現行:3年以内)にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算します。(その財産のうちその相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除します)
相続があった場合の相続開始前の贈与の加算(110万円以下でも加算)が3年から7年に延長されました。延長分の4年以前の贈与については100万円控除が控除されます。
単純に計算すると、受贈者1人につき、基礎控除110万円×延長期間4年―100万円=340万円が毎年の贈与税が非課税であっても、相続があった場合には相続税の計算上、相続財産に足し戻される金額が増えます。
(注)(1)〜(3)の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用されます。
(4)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次の措置を講じた上で、その適用期限が3年延長されます。
(イ) 信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が 23 歳未満である場合等であっても、その死亡の日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなします。
(ロ)受贈者が30歳に達した場合等において、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとします。
贈与税の一般税率とは特例税率でない、高い方の税率です。
特例税率は贈与により財産を取得した方(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の方に限ります。)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の計算に使用します。以下(5)において同じです。教育資金贈与も、結婚・子育て資金贈与も、使い残し分は高い方の一般税率が適用されることに変わります。
(ハ)その他所要の措置が講じられます。
(5)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者が 50 歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとした上、その適用期限が2年延長されます。
(注)(4)及び(5)の改正は、令和5年4月1日以後の取得等に係る相続税・贈与税について適用されます。
(2022年12月記載)
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