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相続税に関するお役立ちトピックス

 

色々な投資商品・副業等の概要

 

昨今、グローバル投資の流通拡大や作為的な副業ブームを受けて、専門家のみが取り扱っていた投資商品の裾野が拡がりを見せたり、様々な収入形態が脚光を浴びる世の中になっています。
フリーダイヤルへの入電等でも稀に名前を耳にする機会も増えてきた事から確定申告を要する商品、またはメディア等で頻繁に取りざたされるものの概要や税務処理等をまとめます。

 

1.AI投資

AIが運用指図する投資信託と同義です。AIがユーザ側から拠出された資金を国内株式・債券は勿論、海外株式、債券、果ては金・不動産などに至るまで幅広い選択肢を以て、最適な資産運用をAIが勝手に考えて勝手に運用してくれるという優れものです。
知名度の高いものでWealthNavi、THEOなどがありますが、会社の違いのみで内容や税法上の取り扱いは何ら変わりありません。
税法上は上場株式等による運用と同様で特定口座(源泉徴収あり)を選択できることから基本的に申告不要。
ただし、一般口座や源泉徴収なしの特定口座を敢えて開設している場合は当然、確定申告が必要です。
また、運用する対象に外国株式や債券等も含まれている事から外国税額控除の適用が可能である点が特筆すべき点として挙げられます。

 

2.先物取引関係

(1)FX
 正式名称は外国為替証拠金取引と言います。外国為替取引+先物証拠金取引のミックスが一般的で、外国為替を予約レートでポジション設定し、ポジションを解消した際の予約レートとの差分により損益を得る(または被る)という性質のものです。(詳細はFXの回で取扱い済みの為、割愛。)

(2)バイナリーオプション
 バイナリーとは2進法を指す言葉で、一定時間後の為替レートが今より上がっているか、下がっているかを予想する2者択一の為替先物に類する金融商品です。上がるか、下がるかを予想しポジションを取るのはFXと同様ですが、バイナリーオプションとFXの違いは、その購入と損益確定の方式にあります。
すなわち、購入時に上がるか、下がるかを予想してチケットを購入し、一定時間後の相場に応じ、予想が当たっていれば予め設定された当選金額(ペイアウト)を受け取る事が出来、外れればチケット購入代金を失うことになります。FXが購入、決済・損益の確定を全て自身で行い、その損益の幅は予想が効かないのに対し、バイナリーオプション取引は取引一回当たりの必要資金、損益幅が定額もしくは自身でコントロールが可能な点が大きな違いです。

(3)税法上の取り扱い(共通)
税法上の取扱いは、両者変わらず所得区分を雑所得として、【先物取引にかかる雑所得等の金額】として分離課税されます。逆に損失を被った場合には3年間の繰越が可能で、他の年分で生じた先物取引の所得金額からのみ控除する事が可能です。尚、税率は定率で20.315%です。

 

3.ソーシャルレンディング

(1)概要
換言すればお金の貸付です。通常、事業資金等について融資を受ける際には金融機関に相談し、審査を通過して初めて借入資金を取得する事が出来ますが、審査に時間を要したり、審査に通過できなければ融資を受けられず、貸し手も金融機関に限定されます。
ソーシャルレンディングは事業に融資を受けたい借り手と事業資金貸付により利益を上げたい貸し手双方のニーズを直接的にマッチングするサービスです。

(2)特徴・クラウドファンディングとの比較
(イ)特徴
ソーシャルレンディング運営会社は、元本が安価なもので1万円程度から始める事が出来、貸し手は元金の返済とともに利息(または分配金)を受取る事が出来、損失のリスクは自身が融資した元金のみに限られる事から、内容がシンプルかつ、期待できるリターンの金額・率、損失のリスク・金額全てを容易に把握し、自身で有用な投資先を選択できる点が特徴です。
(ロ)クラウドファンディングとの比較
そもそもソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一種に位置付けられます。
クラウドファンディングがインターネットや運営会社を通じて事業に賛同してくれる不特定多数を募り、資金獲得する事が目的になりますが、その提供資金に対する見返りの種別によって寄付型、融資型(貸付型)、購入型、株式型等に分類されます。
ソーシャルレンディングはこの『融資型』クラウドファンディングと同質である為、一概にクラウドファンディング=ソーシャルレンディングではない点に注意が必要です。

(3)税法上の取扱い

税務上の取り扱いとしては、雑所得として総合課税の対象になります。ただし、これはあくまで現在の取り扱いであり、今後の市場規模拡大や利用者の増大などを受けて、改正される可能性は往々にしてあり得る話なので、今後の動向に注視が必要と言えます。

 

4.仮想通貨

(1)概要
メディアでの取り扱いは一時期に比べ落ち着いてきたものの、依然根強い人気を博している投資対象とされるのが仮想通貨です。(こちらも仮想通貨自体は前段で紹介済みの為、詳細な概要説明は割愛します。)
国内で最も知名度を得ているのが恐らくビットコインかと思われますが、現在、世界に流通している仮想通貨の種類は約1,000種類あると言われています。

(2)税法上の取り扱い
種類は多様ですが、殊、国内における税法の取り扱いは共通です。雑所得として総合課税の対象となります。

基本的に損益の認識方法は

 

【売却価額】-【取得価額】=【損益】

 

という時価変動差額により認識することになる訳ですが、仮想通貨ならではのトピックとして、仮想通貨は売却による時価変動による差分利益獲得を目的として保有するほかに、決済手段として保有する事も考えられます。この場合も同様で、

 

【決済手段として仮想通貨を使用した際の時価】-【取得価額】=【損益】

 

として認識する事となります。取り扱いは異なりますが、事業遂行上生じた『為替差損益』と全く同質のものであると言えます。

 

【昨今の金融投資にかかる損益計算の考え方について】

従前、株式譲渡・配当も含め、損益計算上取引による【収益-損失=純損益】として、必要経費の算入を一切認めないというのが税務署の一般的な見解でしたが、利用者の増大等を受けたのか現在は取引を行う上で発生不可避の一般的な支出(例えば、インターネットプロバイダ料、携帯電話料金、電気代等)の算入に寛容になってきている印象を受けます。(H31.3右京税務署確認時点)
ただし、上記の費用についても投資事業にだけ使用するものではなく、日常的に支出される費用のため、全額が経費に算入できるわけではありません。費用の按分方法などについては、個々の判断が必要となります。

 

5.日用品売買、せどり(背取り)など 

(1)概要
現在、断捨離などを含め、主婦層に絶大な人気を誇るのがこのフリマアプリなどを使用した日用品(不用品)売買取引です。
日用品売買が家事使用の不用品を売却するのに対し、せどりは当初から販売目的で購入(仕入)した商品をフリマアプリなどで売却(売上)するという、取扱品目が日用品でよくなされる点や、フリマアプリなど介在する媒体が共通しているので混同されるケースもありますが、そもそも目的の点で全く異なるものです。
昨今、取引規模が拡大してきた取引というよりは、以前より、オークションサイト等を利用した日用品売買は頻繁に行われていましたが、フリマアプリの台頭によりトレンドとして注目を浴びた為、運営会社の企業努力もあって、取引規模に比して先行して知名度が上がり、焦点をあてられるようになった取引というのが正しい捉え方かと思います。

(2)税法上の取扱い
税務上の取り扱いは日用品売買とせどりでは全く異なります。

(イ)不用品売買
日用品売買は元々、家事使用目的で購入したものを売却する、つまり家庭内の不用品処分の域を出ない為(当該品時価30万円を超えるものについて例外あり)、基本的に非課税です。ただし、当然ながら購入時に事業供用目的、または法人名義で購入したものの売却は、譲渡所得または益金算入とすることになります。(原則通り)

(ロ)せどり
対してせどりは、小売店舗を持ち、商品を仕入・売上げる行為と実質的に何ら変わりないので、税務上もそのように取扱いがなされます。すなわち、小遣い稼ぎ程度にせどりを行っていれば雑所得、事業的規模で行っていれば事業所得に区分され、いずれにせよ総合課税の対象になります。
ここで論点になるのが青色申告の対象、つまり事業的規模の判定ですが、当然税務署からの明確な回答はありませんでした。判断基準としては
  a.生計を立てる事が可能か
  b.ほかに専業(サラリーマンなど)がないか

により雑所得になりうるケースを除外して、あとは個別相談とせざるを得ないものと判断します。
逆に所得計算も通常の店舗型小売り事業と全く同様で

 

【売 上】-【売上原価ほか販売経費等】=所得金額

 

として計算し、在庫リスクなど事業上発生しうるリスクなども同様です。

 

 

6.まとめ

他にも種々新しい収入形態があって、それらは日々増え続ける事と思いますが、今回はそれらの内、昨今知名度が上昇してきたものをピックアップして紹介してきました。
いずれにせよ所得を得る以上そこに申告や納税がついて回るのはどんな商売でも共通の事です。
『儲かってから考えよう』としたい気持ちはだれしもに共通する考え方かもしれませんが、納税は不可避である事からビジネスモデル構築の上で、予め計画しておく事が重要です。

 

補足:確定申告要件について 

 上記に上げたこれらの収入等は全て年間トータルで20万円以上の利益が発生している場合のみ確定申告義務が発生します、また納付についても同様です。ただし、所得区分が事業所得のもので、青色申告を行う場合のみ所得の有無に関わらず申告が必要になります。

 

 (2019年10月記載)

 

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