節税対策
前もって相続税の節税対策をすることは可能です。
下記のような節税対策がありますが、大切なことは、早くから始めることです。
相続はいつ開始するかわかりません。
しかし節税対策には手続や時間が必要なものがあります。また、被相続人がご高齢になられますと、判断や行動が困難となる場合もあります。
是非、早めの節税対策をお勧めします。
1. 生前贈与
生前贈与をすることによって相続税(相続財産)を減らすことが出来ます。
生前贈与には贈与税がかかりますが、下記のような制度を利用することによって、贈与税の負担なし、または低額の贈与税で贈与することが出来ます。
★毎年、贈与税の基礎控除を利用する(贈与する財産が年間110万円までの場合は、贈与税がかかりません)
★親から子・孫(18歳以上)への住宅資金贈与の特例の利用
令和8年12月31日までで500万円から1000万円を限度(年度や要件により異なります)として贈与税がかかりません。
★直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の者への教育資金の一括贈与の特例の利用
令和8年3月31日までで、1500万円を限度として贈与税がかかりません。
★父母や祖父母から子や孫(18歳以上50歳未満)への結婚や子育資金の一括贈与の特例の利用
令和7年3月31日までで、1000万円を限度として贈与税がかかりません。
★結婚20年以上の夫婦間の居住用不動産の贈与税の特例の利用
2000万円を限度として贈与税がかかりません。
★相続時精算課税制度の利用
適用を受けると2500万円までの部分については贈与税がかかりません。
上記特例規定には、申告期限までに贈与税の申告書を提出しなければ適用されないものがあります。
詳しいご相談は当相談室までお問い合わせ下さい。
2. 生命保険の利用
生命保険金には相続時に非課税枠があります。
非課税枠 法定相続人の数 × 500万円
例)相続人が妻と子供2人の場合、3人×500万円=1500万円
つまり相続人が1人なら生命保険金が500万円までは相続税がかかりません。相続人が3人なら、生命保険金が1500万円まで相続税がかかりません。
また、生命保険金は現預金で受け取るため、納税資金や生活資金にすることが出来ます。
生命保険金は相続放棄しても受け取ることが出来ます。
当相談室では保険専門担当者もいますので、生命保険について総合的に有利なアドバイスをさせて頂くことが出来ます。
是非、当相談室にご相談下さい。
3. 退職金の利用
ご自身で会社(法人)を経営されている場合には、法人名義でご自身の生命保険(事業保険)に加入し、亡くなられたときにその保険金を原資とした退職金を支給出来るようにしておけば、退職金にも非課税枠があり、生命保険金と同様に納税資金や相続人の生活資金とすることが出来ます。
非課税枠 法定相続人の数 × 500万円
例)相続人が妻と子供3人の場合、4人×500万円=2000万円
つまり相続人が1人なら退職金が500万円までは相続税がかかりません。相続人が3人なら、退職金が1500万円まで相続税がかかりません。
また、退職金は現預金で受け取るため、納税資金や生活資金にすることが出来ます。
ご存命中においても、事業保険は会社の経費に計上できるので会社の法人税の節税対策にもなります。
当相談室では保険専門担当者もいますので、法人で退職金の設定をする保険(事業保険)について総合的に有利なアドバイスをさせて頂くことが出来ます。
是非、当相談室にご相談下さい。
4. 土地・建物の有効利用
小規模宅地等の特例の適用を受けると、最大で土地の価額の80%を減額出来ます。
受けられるのは居住用と事業用の土地で、面積制限があります。
また、空き地にマンションやアパートを建築すると、土地や建物の建築価額の評価が下がり、小規模宅地等の特例も50%減で適用することが出来、節税対策になります。
ただ、貸家経営はリスクを伴う事業でもありますので、実行には検討が必要です。
詳しくは是非、当相談室までお問い合わせ下さい。
5. 養子縁組で相続人を増やす
相続人の数を増やすことも相続税対策となります。
嫁や孫などを養子にし、法定相続人を増やすと節税効果があります。
基礎控除額が増え、累進税率が下がり、生命保険金や退職金の非課税枠も大きくなります。
ただし、相続税額の計算上、法定相続人に含める養子の数には制限があり、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までです。
養子縁組は節税だけでなく、相続権のない人に財産を相続させるための手段としても有効で、世話になったお嫁さんや可愛がっているお孫さんに財産を与えたいときなどには、養子縁組の制度を利用するといいです。
6. 相続後の対策
節税対策は相続前だけではありません。相続後に財産をどう分割し、どう評価するかによっても税額は大きく変わります。
詳しくは是非、当相談室までお問い合わせください。
7. その他
墓地や仏壇などを購入すると、これらは相続税がかかりませんので、購入費分だけの相続財産を減らすことができます。
相続後に遺産から購入しても控除は出来ませんので、お墓がまだない人は生前に購入しておくと節税対策になります。
子供夫婦と同居している自宅などが老朽化していて建替えを検討している場合には、建替えることによって、建築費用の評価が約70%に下がり現金でもっている場合よりも節税対策となります。
借入による建替えでも同じ効果が得られます。
また生活費や教育費は非課税で贈与出来るので、同居している場合の生活費は父、祖父、祖母などが出すようにすれば、贈与税なしで贈与することが出来ます。
他にも財産状況や家庭事情等によって節税対策は異なりますので、詳しくは是非、当相談室までご相談ください。
8. 贈与税・相続税の納税猶予制度の活用
農地や山林、自らが経営する会社の非上場株式で一定のものについては、その経営の後継者にとって大きな負担となる贈与税や相続税を猶予したり免除する事で、円滑に経営を承継させる税制上の優遇措置があります。
その制度の適用を受けるためには決められた申告要件を満たす必要があり、事前に綿密な検討や手続きなどを要します。
特に非上場株式の贈与税・相続税の納税猶予制度は平成20年に制定された比較的新しい制度であり、その適用を受ける事例もまだ多いとは言えず、更に後継者等に課せられる要件も厳格です。
ただし、その適用を受ける事ができれば、後継者にとってはかなりの税負担の軽減となります。
詳しいご相談は当相談室までお問い合わせ下さい。