相続税の申告期限は【10か月以内】過ぎた場合のペナルティや納付期限・方法、手続きの流れをすべて解説!
相続税の申告期限は、死亡したことを知った日(死亡した日)の翌日から10か月以内です。
申告期限を過ぎるとペナルティを回避できないため、相続税の申告が必要な場合は計画的に手続きを進めましょう。
本記事では、相続税の申告期限を過ぎた場合に課されるペナルティや納付期限を解説します。
相続税の納付方法や手続きの流れも解説しているので、申告を控えている方はぜひ最後までご覧ください。
<この記事の監修者> 吉本 貴幸(よしもと たかゆき) 税理士法人吉本事務所 代表社員 税理士・行政書士 大学卒業後、1998年に現在の税理士法人の前身である個人税理士事務所に入所。2021年10月より現職。法人、個人事業のクライアントや相続税、贈与税の申告に関わる一方、税理士法人関連会社の社会保険労務士事務所、行政書士事務所、保険代理店のマネージメントにも携わる。経営に関する総合的な知識のもと、税務申告のみならず、事業運営・起業・法人設立のアドバイスも得意とする。税理士法人関連7サイトの総編集長・監修者として、最新の税務情報発信に務めている。 |
相続税の申告期限は【10か月以内】です
相続税の申告期限は、死亡したことを知った日(死亡した日)の翌日から10か月以内と定められています。
通常、死亡したことを知った日は死亡した日を示します。
たとえば、令和6年3月15日に亡くなったとすると、申告期限は令和7年1月15日です。
もし申告期限を過ぎるとペナルティの対象となるため、必ず期限内に申告を終えましょう。
詳しくは、後ほど解説します。
申告期限が土日の場合
申告期限が土曜日、日曜日、祝日の場合は、次の平日に設定されます。
たとえば、令和6年3月18日に亡くなったとすると、申告期限は令和7年1月20日(月)となります。
本来であれば申告期限は令和7年1月18日(土)ですが、土曜日に当たるためです。
相続税の申告が不要なケース
遺産総額が基礎控除額を超えなければ、相続税の申告は不要です。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
相続税は、基礎控除額を超える部分にかかる税金で、必ずしもかかるわけではありません。
申告期限の10か月を過ぎるとどうなる?
申告期限の10か月を過ぎると、以下のペナルティが課されます。
・各種特例・控除が適用できなくなる ・無申告加算税・延滞税の対象になる ・他の相続人に連帯納付義務が生じる ・財産を差し押さえられる恐れがある |
いずれの場合も納税すべき額よりも負担が増えるため、注意が必要です。
各種特例・控除が適用できなくなる
相続税には、負担を軽減するための特例や控除が複数存在します。
ただし、期限内の申告が前提のため、申告期限を過ぎると適用されず納税額が増えてしまう点に留意しておきましょう。
特例や控除を活用すれば大幅に税額を下げられるため、期限内に申告を行えるよう計画的に手続きを進めることが大切です。
無申告加算税・延滞税の対象になる
相続税の申告・納付が遅れると、無申告加算税と延滞税の両方の対象になります。
なお、納付が遅れた場合は、期限となる日の翌日から延滞税がかかります。
無申告加算税は相続税額に応じた割合で計算され、延滞税は納付が遅れるほど負担が増える税金で、いずれも相続税と二重にかかる点には注意が必要です。
他の相続人に連帯納付義務が生じる
相続税には、相続人が連帯して納付しなければならない連帯納付義務があります。
もし相続税を納付しなかった場合は、代わりとして連帯納付義務者となる他の相続人に納付義務が生じるということです。
相続税がかかる場合は、それぞれの相続人が責任をもって期限内に納付しましょう。
財産を差し押さえられる恐れがある
先述の通り、相続税には連帯納付義務があるため、相続税を納付しなかった場合は最終的に(連帯納付義務者)へ督促状が届きます。
とはいえ他の相続人が納付を拒否すると、本来の納税義務者が保有する財産を差し押さえられる恐れがある点に留意しておきましょう。
なお、本来の納税義務者に差し押さえられる財産がなければ、他の相続人が財産を差し押さえられてしまう可能性も考えられます。
相続税の納付期限と納付方法
相続税の納付期限は、死亡したことを知った日(死亡した日)の翌日から10か月以内と定められています。
申告と同じ日が期限のため、10か月以内に申告・納付の両方を行わなければなりません。
また、相続税の納付方法は、主に以下が挙げられます。
・税務署・金融機関の窓口 ・インターネット(電子納税) ・クレジットカード |
原則、現金一括で納付しますが、難しい場合は「延納(納付が困難な金額の範囲内で分割納付(年払い)が認められる制度)」または「物納(納付が困難な金額の範囲内で相続財産での納付が認められる制度)」を検討しましょう。
ただし、一定の要件が設けられているため、検討する際は税理士に相談するのがおすすめです。
制度の詳細は、国税庁のホームページで確認できます。
相続税の申告・納付までの流れ
相続税の申告・納付までは、以下の流れで進めます。
税理士に依頼する場合も、事前に把握しておくとスムーズでしょう。
1.法定相続人を確認する | 被相続人(亡くなった人)が出生してから死亡するまでの戸籍謄本で法定相続人(被相続人の財産を引き継ぐ権利がある人)を確認する |
2.遺言書の有無を確認する | 遺言書があれば、開封せずに家庭裁判所で検認(遺言書の偽造・変造を防止するための手続き)を受ける※公正証書遺言または法務局で保管された自筆証書遺言を除く |
3.相続財産を確認する | 相続の対象となるプラスの財産とマイナスの財産を調べる |
4.相続財産を評価する | 相続税の対象となる財産の評価を行い、価値を明らかにする |
5.遺産分割協議を行う | 遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書(合意した内容をまとめた書面)を作成する |
6.相続税の申告・納付を行う | 死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納付を行う |
なお、遺産分割協議がまとまらず、申告期限に間に合わない場合は、法定相続分(法律で定められた相続の割合)の相続財産を取得したものとして申告するのが基本です。
申告期限ギリギリの場合はどうする?
すでに申告期限ギリギリの場合は、以下のいずれかで対処するとよいでしょう。
・概算の税額で多めに申告する ・相続に強い税理士へ相談する |
順に解説します。
概算の税額で多めに申告する
期限内に申告を行うために、税額を概算して多めに申告・納付するのも一つです。
申告後に正確な税額に訂正(更正の請求)すれば、差額の還付を受けられます。
ただし、相続税を軽減する特例や控除は、あらかじめ適用しておく必要があります。
相続に強い税理士へ相談する
申告期限ギリギリの場合は、できるだけ早く相続税専門の税理士を探して相談するのがおすすめです。
申告期限を過ぎるとペナルティを回避できないため、困ったときこそ専門家のサポートを受けるべきでしょう。
相続に強い税理士の探し方は、以下の記事で解説しています。
相続税申告以外の手続きの期限にも注意
以下の手続きが必要な場合は、それぞれの期限にも注意が必要です。
・準確定申告 ・相続放棄・限定承認 |
順に解説します。
準確定申告の期限
準確定申告とは、被相続人の代わりに行う確定申告のことです。
準確定申告の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内と定められています。
通常、相続の開始を知った日は死亡した日を示します。
被相続人が確定申告の対象者だった場合は、1月1日から死亡した日までの所得に応じて所得税の申告・納付が必要です。
相続放棄・限定承認の期限
相続財産をすべて受け継がず、相続放棄や限定承認の手続きを行う場合は、相続の開始を知った日から3か月以内が期限です。
通常、相続の開始を知った日は死亡した日を示します。
なお、相続放棄はすべての相続財産を受け継がずに放棄することで、限定承認はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぐことです。
税金の問題を理由に相続放棄や限定承認を検討している場合は、税理士に相談して専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
税理士に依頼するなら6か月以内を目安に
相続税申告を税理士に依頼する場合は、被相続人の死亡から6か月以内を目安にするとよいでしょう。
申告期限ギリギリの状態で依頼すると、税理士報酬が高くなりやすい点には注意が必要です。
相続税申告を税理士に依頼するメリットは、以下の記事を参考にしてください。
【Q&A】相続税申告に関するよくある質問
最後は、相続税申告に関するよくある質問を紹介します。
相続税の申告期限は延長できる?
原則、相続税の申告期限は延長できません。
ただし、例外として以下のようなケースでは延長が認められる場合があります。
・遺留分侵害額請求があった場合 ・相続人である胎児が生まれた場合 など |
相続税申告に必要な書類は?
相続税申告に必要な書類は、相続財産や申告内容によって異なります。
すべてのケースで提出が求められるものは、以下のような書類が挙げられます。
・被相続人と相続人全員の戸籍謄本等 ・被相続人の住民票の除票 ・相続人全員の住民票 ・遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し など |
なかには多くの書類が必要な場合もあるほか、どの範囲まで提出するかは状況に応じて判断しなければならないため、詳細は税理士に確認してみてください。
ケース別の主な必要書類は、以下の記事でも解説しています。
相続税申告は自分でできる?
相続税申告は、自分でもできます。
ただし、正確かつ有利な申告には知識と経験が必要なため、相続税の負担を最小限に抑えたいなら税理士に依頼すべきです。
なお、国税庁が発表している資料では、全体の85.9%の人が税理士に依頼して相続税の申告を行なっている内容の記載があります(令和4事務年度国税庁実績評価書)。
相続税申告のご相談は税理士法人吉本事務所へ
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相続税申告の実績が100件を超える相続専門の税理士が、お客様のニーズに合わせて誠意をもって対応いたします。
相続は専門性が高い分野で、たとえ税理士でも全員が相続税に精通しているわけではありません。
相続税の負担を軽減するには税理士の知識と経験が必須のため、お客様が最も有利に申告を進められるよう、ぜひ当事務所の相続チームにお任せください。
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(つながらない場合はこちら075-872-6255)
まとめ
相続税の申告期限は、死亡したことを知った日(死亡した日)の翌日から10か月以内と定められています。
申告期限の10か月を過ぎると以下のペナルティが課され、納税すべき額よりも負担が増える点に注意してください。
・各種特例・控除が適用できなくなる ・無申告加算税・延滞税の対象になる ・他の相続人に連帯納付義務が生じる ・財産を差し押さえられる恐れがある |
なお、申告期限ギリギリの場合は、概算の税額で多めに申告するか、相続に強い税理士へ相談しましょう。
相続税の申告期限は原則延長できないので、困った場合は専門家の手を借りつつ計画的に手続きを進めてください。